田中ヒサミ『自身ガアリマセン』

2012年3月24日(土)- 4月29日(日)
オープニングサロン : 3月24日(土)18~21時

※会期中は、月曜17~23時および金・土・日曜 13~19時のオープンとなります。
※初日の3月24日は、レセプション前も通常通り13時からオープンします。
展示風景
作品
シルバーボックス
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 53 x 45.5 cm
曲がるブラック
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 112 x 145.5 cm
水平なシルバー
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 53 x 45.5 cm
RedA
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 80 x 100 cm
smallE
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 130 x 162 cm
ブラウンゲート
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 31.8 x 41 cm
青に刺さる
2012
アクリル, エナメル塗料, インク, 鉛筆, パネル, 31.8 x 41 cm
ドローイングとピンク
2012
アクリル, インク, 色鉛筆, 鉛筆, パネル, 21 x 29.6 cm
ドローイングとシルバー
2012
アクリル, インク, 色鉛筆, 鉛筆, パネル, 18 x 28 cm
ドローイングとホワイト
2012
アクリル, インク, 色鉛筆, 鉛筆, パネル, 18 x 28 cm
ドローイングとイエロー
2012
アクリル, インク, 色鉛筆, 鉛筆, パネル, 18 x 28 cm
プレスリリース
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早春の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
waitingroomでは、来る3月24日(土)から4月29日(日)まで、田中ヒサミ個展『自身ガアリマセン』を開催いたします。

田中は1976年茨城県生まれ、2001年多摩美術大学美術学部デザイン科卒業。近年の参加展覧会は、『窓と物語』(2011年, waitingroom, 東京)、『トーキョーワンダーウォール入選作品展』(2010年, 東京都現代美術館, 東京)など。田中にとって本展がwaitingroomでの初個展となります。

田中はこれまで、世の中の様々な「差異」における「価値の有無や力の有無」に着目し、身の回りの風景、人物、モノから「価値や力があるものとされている」特定のモチーフを選び、画面上で形態の抽象化と再構築を行い、その他と同化させることで、様々な「関係性」や「価値」をフラットに表現していました。
しかし震災を境に、「これまでのモチーフの選定の仕方に疑問を感じ始め、その理由に確信が持てなくなった」と語る田中は、今度は「価値や力が無いとされがちなモノ」をただ画面上に提示するという方法に移行します。

いわゆる何でもないモノを描く。
それは只の線であったり、只の色であったり、もしくは只の絵の具であったり。
線を引くために只線を引き、色を塗るために只色を塗る。
それはたぶん人が生きるために生きるというのに近い。
そしてそれらは「只」であるため、できるだけ外的要因に左右されたり、
できるだけ能動的でないモノであってほしい。
それは描く際の技法にも通ずる。そこに現れたモノはそれ以上でも以下でもない。

しかし人が何かアクションを起こす以上(しかも絵を描くという行為が
ある以上)、そこに何かしらの情念が宿るのが常。
実はある意味、そこが上記した内容と二律背反的に展開するテーマでもあり、
絵画の理屈でない面や、人がなぜ絵画を求めるかという部分についての
問題提起みたいなものでもある。

(田中ヒサミ)

作家として「何故絵を描くのか」という問いは、人が「何故生きるのか」という問いに通ずる永遠のテーマでもあります。田中というひとりの画家が、改めて「世界を見つめること」「絵を描くこと」に向き合った本展を是非、ご高覧賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

アーティスト
田中ヒサミ
Hisami TANAKA