グループ展 doubles vol.1『すくなくともいまは、目の前の街が利用するためにある』 キュレーター x アーティスト:長谷川新 x 武田雄介 趙純恵 x 川村麻純

2015年9月11日(金)- 10月19日(月)
オープニングレセプション:9月11日(金)18:00-21:00

・会期中は、月曜日 17~23時および金・土・日曜日 13~19時のオープンとなります。
・本展のオープニングレセプションを、初日の9月11日(金)18~21時に開催します。
・なお、初日も通常通り13時からオープンいたします。
展示風景
作品
川村麻純 鳥の歌
2015
写真
武田雄介 インスタレーション
2014
Courtesy of Kitakagaya Crossing Organizing Committee
川村麻純 鳥の歌
2015
取材先で手に入れた資料(台湾の古地図、家族写真、楽譜、台湾の学校で使われていた教科書など)
武田雄介 インスタレーション
2013
Photo by Ai Nakagawa
プレスリリース
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waitingroomでは、2015年9月11日(金)から10月19日(月)まで、若手キュレーターを紹介する新シリーズ「doubles(ダブルス)」の第1回目として、関西を拠点に活動する長谷川新と、東京とソウルを拠点に活動する趙純恵の、2人の共同キュレーション展『すくなくともいまは、目の前の街が利用するためにある』を開催致します。本展は、2人展/グループ展という形式ではなく、長谷川が選ぶ武田雄介と、趙が選ぶ川村麻純の、キュレーターとアーティストの4名が対話することによって、1つの展覧会を完成させる試みです。同シリーズ「doubles(ダブルス)」は、今後の活躍が期待される若手キュレーター2名が共同でキュレーションを行い、コマーシャルギャラリーであるwaitingroomという場所でしか出来ない展覧会を発表するという企画です。 展覧会タイトル『すくなくともいまは、目の前の街が利用するためにある』は、安岡章太郎の小説『秘密』の中から取られた一文です。各文節ごとに複数の解釈が可能であるという点と、「利用する」という言葉の暴力性をキュレーションでどう引き受けるかという点が、今回の企画を表現するキーワードとなっています。

もしかすると私の疑問には意味があるのかもしれない。
– エリザベス・ムーン『くらやみの速さはどれくらい』

「ここ」は経験の出発点ではなく、視線触発その他の作動の結果生まれる産物なのである。
– 村上靖彦『自閉症の現象学』

武田雄介の作品で、以前からずっと気になっているものがある。彼は厚手のコートを着込み、共同アトリエでたばこをくゆらし、缶コーヒーを飲んでいる。彼はそれを映像で記録し続けている。時間が流れ、たばこが灰になり、コーヒーを飲み干すと、彼はおもむろに寒空のもとへとくりだす。そこからの映像はただひたすら彼が缶コーヒーを蹴飛ばしながら夜道を歩き続けるものだ。冷え切った金沢の夜の道を、彼は缶コーヒーを蹴り続けて歩く(電灯はほとんどなく、人通りもない倉庫群)。それは多分、彼の願望の投影になってしまっているのだ。
(長谷川新)

人々の証言を書き記している歴史書を手に取る。
そこには体験にもとづいた言葉が散りばめられ、過去の出来事を事実として補完する。
人が発する証言とは、時として当時の記憶や心情に左右され揺れ動く不確かなもの。
その不確かさは確かなものとして伝えられるべきなのか、もしくはそうでなくてよいのか。
そのどちらも選択しない空間に、彼女は自ら位置している。

川村麻純は東京と台北で出会った女性たちに、当時抱いていた淡い恋心や経験に耳を傾け、女性たちの歴史を語り直すことで思いを馳せる。
そして植民地支配と被植民地の時間が流れるその場所で、歴史の証言ではない、ごく私的な女性たちの物語に寄り添い、その言葉たちを抱き込むように受け止める。
登録された歴史に対してこぼれ落ちてしまった物語を、自らが位置する場所で。
ばらばらな粒となった女性たちの生きた物語を運ぶ鳥となりながら。
(趙純恵)

本展において、武田雄介は新作の映像・写真・ペインティングをインスタレーション形式で、川村麻純は「PARASOPHIA特別連帯プログラム」として京都芸術センターで今春開催された『鳥の歌』から派生させた新作として、資料・写真・メモやテキストなどを展示いたします。また、キュレーターの長谷川新と趙純恵が、共同で執筆するテキストもあわせて会場に展示します。今回のdoubles(ダブルス)Vol.1でしか見ることのできない4人の組み合わせの展示を、この機会に是非ご高覧下さい。

キュレーター&アーティスト経歴

長谷川新 HASEGAWA Arata
1988年生まれ。キュレーター。京都大学総合人間学部卒業。専攻は文化人類学。 2013年から2014年にかけ、大阪、東京、金沢にて開催された「北加賀屋クロッシング2013 : MOBILIS IN MOBILI-交錯する現在-」展チーフキュレーターを務める。同展は2014年カタログを出版(constellation books)。個人での主な企画に「無人島にて―「80年代」の彫刻/立体/インスタレーション」(京都造形芸術大学ギャルリ・オーブ,京都/2014)、「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」(the three konohana,大阪/2015)など。

武田雄介 TAKEDA Yusuke
1985年生まれ。金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科博士後期課程 、修了博士号取得。主な展覧会に「SUNSET is SUNRISE」( MORI YU GALLERY TOKYO/2011)、「Wandering―暗い部屋―」(TRANCE ART TOKYO 旧東京電機大学校舎/2012) 、東京「北加賀屋クロッシング2013: MOBILIS IN MOBILI-交錯する現在-」(コーポ北加賀屋、CASHI/2013、問屋まちスタジオ/2014)、「ファンデナゴヤ2014 虹の麓-反射するプロセス-」(ギャラリー矢田/2014)、「単純な顔/複雑な島」(MORI YU GALLERY KYOTO/2014)、VOCA 展(上野の森美術館/2015)など。

趙純恵 CHO Sune
1986年東京生まれ。東京藝術大学美術研究科先端芸術表現専攻修了。 東アジアの近現代美術史を軸に、ポストコロニアル・ディアスポラアートのリサーチを進めながら、アジアのアートにおけるオルタナティブな歴史の再定義を念頭に活動している。主な展覧会・活動に「つぶやきの政治学 1999年8月27日-」 (blanclas/2015)、「Human Research in East Asia/ Japan-Taiwan-Korea」(東京藝術大学/2015)、光州アジアアートコンプレックス(アーカイブ部門)オープニングエキシビジョン・プロジェクトコーディネーター(韓国/2015)、r:ead-レジデンス・東アジア・ダイアログ/アシスタント・ディレクター(アジア各都市/2013-2015)

川村麻純 KAWAMURA Masumi
2012年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了。主な展覧会に、『展覧会ドラフト2015PARASOPHIA特別連帯プログラム 川村麻純「鳥の歌」』(京都芸術センター、京都/2015)、第7回シセイドウアートエッグ展「川村麻純 Mirror Portraits」(資生堂ギャラリー、東京/2013)、「Mirror Portraits」(LIXILギャラリー、東京/2012)、グループ展「8人の女たち」(クリエイションギャラリーG8、東京/2015)が挙げられる。なお、平成27年度新進芸術家海外研修制度(長期)で、2015年秋よりNYへ1年滞在予定。

アーティスト
武田雄介
Yusuke TAKEDA
川村麻純
Masumi KAWAMURA