このたび、waitingroomでは、2011年4月9日(土)から5月14日(土)まで、下平晃道 個展『ブルースとジュース』を開催いたします。下平にとって2年ぶりの個展となる本展では、鮮やかな色彩を放つ新作のペインティングとドローイングを、インスタレーションの要素も絡めながら展示いたします。
下平が描く“目に見えない世界”
下平の作品に登場するユーモアと不気味さが同居するキャラクター、白昼夢に出てきそうな具象とも抽象ともとれる風景は、厚く盛られた絵具と強い筆致、そして何よりその鮮烈な色彩によって強い“異世界”観を表出しています。幻想的でありながら、同時にえぐるような生々しさも持ち合わせている下平の作品は、グリム童話等が持つ甘美さと不穏さが浮遊する世界を想起させます。
「“目に見えない別の世界”は、民話や童話やおとぎ話などにも頻出します。昔から人々は、その目に見えない世界に関心を持ち続けてきたんだと思うんです。僕は絵を描くことを通して、その世界を感じられるようにしたい」と作家自身が語るように、下平の作品は、鑑賞者にとって“目に見えない世界”を想像する入口であり、いつもと違う感覚で世界を知覚させるという、芸術が持つ普遍性の追求へのチャレンジともいえます。
色の重なりから立ち上がる風景
下平の作品が持つ“異世界”をつくり出す生き生きとした色彩は、表情ある画肌とともに鑑賞者のさまざまな感情や想像力を掘り起こし、まるで豊潤な別世界に入り込んだような感覚を味わえる、そんな力を持っています。
色彩への想いについて、下平は、「色の重なりが、画面の中で視線を動かす為のリズムを生み、絵の中に時間を生み、そこに世界が立ち上がってくるように感じています」と言います。
ぜひこの機会に、下平が描き出す色の風景を体験していただければと思います。