豊田涼華『一端をうかがう』

2021年9月18日(土)- 10月10日(日)
・営業日:水~土 12:00~19:00 / 日 12:00~17:00
・定休日:月・火・祝日

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展示風景
作品
line of sight
2021
キャンバスに油彩と木炭, 1118×1620mm
midnight sun
2021
キャンバスに油彩と木炭 1303×894mm
彼誰
2021
キャンバスに油彩と木炭, 1000×727mm
face to face
2021
キャンバスに油彩と木炭, 727×606mm
均衡
2021
キャンバスに油彩、木炭, 410×605mm
レモン色
2021
キャンバスに油彩、木炭, 500×727mm
play
2021
キャンバスに油彩、木炭, 605×605mm
untitled
2021
キャンバスに油彩と木炭, 445×605mm
モスクの海
2021
キャンバスに油彩、木炭, 408×530mm
untitled
2021
キャンバスに油彩と木炭 606×500mm
混濁
2021
キャンバスに油彩と木炭, 335×530mm
記録
2021
キャンバスに油彩と木炭, 455×273mm
プレスリリース
PDF

WAITINGROOM(東京)では、2021年9月18日(土)から10月10日(日)まで、豊田涼華の個展『一端をうかがう』を開催いたします。豊田涼華は、日常のふとした瞬間に目撃した人々や状況を描いています。一部が隠されたり、部分だけが抽出されたり、時に作家も意図していなかった方法も取り入れながら描かれた情景は、他者の物語のなかの一場面でありながら、奇妙な親密さを持っています。かつて現実に存在した一場面に手を加えて絵画にすることで、感情や雰囲気、存在感といった、捉えることの難しい、しかし人間が確かに持っている曖昧なものをも描き出そうとしているかのようです。
本展では、今年新たに制作された十数点の新作を発表いたします。この春に東京藝術大学大学院を修了したばかりである豊田涼華の、WAITINGROOMでは初めての開催となる新作個展に、ぜひご期待ください。


《均衡》2021年、キャンバスに油彩、木炭、445 x 605 mm

作家・豊田涼華について
1996年三重県生まれ、2021年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)を修了。現在は茨城県を拠点に活動中。近年の展覧会として、2021年個展『過日』(RISE GALLERY、東京)、2021年グループ展『交差点 –いま、ここからの–』(Bunkamura Gallery、東京)、グループ展『the sight of the stars makes me dream』(SCÈNE、東京)、グループ展『Collectors’ Collective vol.4 Osaka』(TEZUKAYAMA GALLERY、大阪)、2020年グループ展『まなざしのカタチ』(WAITINGROOM、東京)が挙げられます。まだ展示歴の少ない1996年生まれの新星でありながら、その作品は大きく注目を集めています。

アーティスト・ステートメント
日常生活で目に映った人やモノ、SNSで見かけた写真画像をもとにして、現実にあった具体的なイメージを取り込み、線を重ねたり隠したり感情を混ぜたりしながら少しずつ変形させて絵にしている。
ほとんどの場合、主導権は私ではなく絵が持っているので、キャンバス上での意図しない動きや成り行きに任せている。
そうして生きている中で垣間見えた出来事の一場面を切り取ると、そこに人物・モノが存在していた事実と何かがあった予感が残る。ときどき自分の見たものを疑いつつも曖昧な心地よさを求めて彷徨っているのかもしれない。
豊田涼華


左《モスクの海》2021年、キャンバスに油彩、木炭、408 × 530 mm
右《混濁》2021年、キャンバスに油彩、木炭、335 × 530 mm

画面を漂う曖昧なものの存在感
一部が塗りつぶされた人の顔。単純化された影とも動物とも判別のつかない何か。豊田涼華の作品に描かれているのは、何らかの一場面や人々ではありますが、その状況をはっきりと言い当てようとすると少し自信がなくなってしまいます。例えるならば、思い出や、むかし観た映画のワンシーンを思い出そうとするときに頭に浮かぶ、ぼんやりとしたイメージに少し似ているかもしれません。
豊田は、彼女の「日常生活で目に映った人やモノ、SNSで見かけた写真画像」をモチーフとした絵画作品を制作していますが、実際に目にしたり写真に撮ったりした何気ない状況も、フィクションやインターネットなどの仮想世界で見つけたイメージも、どちらも自身の日常生活の中で目撃したものとして等価に扱い、モチーフにしています。自分の目に留まったイメージを、構図はそのままに、線を重ねたり情報を隠したり、彼女独自のフィルターを通過させることによって「絵にして」いるのです。
仮想空間や彼女の記憶の中を漂っていた情景はどれも他者のものであり、時には作家自身さえも直接目撃した状況ではありません。しかし、時に「成り行きに任せ」ながらキャンバス上を彷徨うようにして描かれた作品は、どれも不思議な親密さを感じさせます。描かれた状況はどれも物語性を持ち、作品を見る者は、モチーフ同士の関係性やそれらを取り巻く状況、喜怒哀楽の混ざり合った微妙な感情を想像することができます。それらが何なのかをはっきりと言い表すのは非常に難しいですが、人間が確かに持っている奇妙な曖昧さでもあると言えるでしょう。検索すればある程度はっきりした答えを見つけることができるこの世界で、豊田が絵画の中で表現するこの奇妙な曖昧さが、時に際立って私たち人間の感覚に問いかけてくるのではないでしょうか。

作家略歴

1996 三重県生まれ
現在、茨城県を拠点に活動中

学歴

2021 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画) 修了
2019 京都芸術大学美術工芸学科油画コース 卒業

個展

2021
過日 - RISE GALLERY(東京)

グループ展

2021
交差点 –いま、ここからの– - bunkamuraギャラリー(東京)
the sight of the stars makes me dream - SCÈNE(東京)
Collectors’ Collective vol.4 Osaka - TEZUKAYAMA GALLERY(大阪)

2020
まなざしのカタチ - WAITINGROOM(東京)


2021年「令和2年度 東京藝術大学 卒業・修了作品展『伸びた爪をみる』」会場風景(東京藝術大学、東京)

アーティスト
豊田涼華
Suzuka Toyoda