waitingroomでは2015年6月20日(土)から7月26日(日)まで、当ギャラリーでは2年ぶりとなる平子雄一の個展『Grafted Tree』を開催いたします。かねてより平子は、植物と人間の共存についてと、そこに浮かび上がって来る関係性に対する疑問をテーマに制作してきました。以前は「植物と人間が一緒にいる状況」に興味がありましたが、現在は「なぜ人間は植物と共存しようとするのか」そして「どのように共存出来るのか」という問いに興味があると平子は言います。共存する状況に違和感を感じて制作していた以前のダークな画面と比べ、明るい場面と鮮やかな色彩で構成されるようになってきたのが近年の特徴ですが、それは描き慣れた技法ではなく、平子にとってまだコントロールしきれていない新境地への挑戦です。それは、まるで自然と人間の関係が完全にコントロール出来ないことと似ており、永遠にコントロールしきれない状況に挑戦し続ける、アートとアーティストの関係にも重なると平子は言います。
1982年岡山県生まれ、東京都在住。2006年にイギリスのWimbledon College of Art, Fine Art, Painting学科を卒業。日本国内以外にも、コペンハーゲン、シンガポール、台湾、ロッテルダム、サンフランシスコなど、国外でも精力的に発表を続けています。近年の展覧会として、2014年個展『The Bark of Mind』(Galleri Christoffer Egelund、コペンハーゲン)、2013年個展『The Leaf Scar』(waitingroom、東京)、2012年個展『庭先メモリーズ:見えない森』(INAX GALLERY, 東京)が挙げられます。また、2009年『シェル美術賞』入選、2010年『トーキョーワンダーウォール』トーキョーワンダーウォール賞受賞、2013年『VOCA展』奨励賞受賞など、国内の主要公募展での活躍も目覚ましいです。今年の秋から冬にかけては、第一生命ギャラリーでの大型個展と、台北のYIRI ARTSでの個展が控えています。
本展のタイトル「Grafted Tree」とは、2個以上の植物体を、人為的に作った切断面で接着して、1つの個体とする「接ぎ木」のことを指します。主に新品種の「増殖」や「改良」を目的として用いられる技術ですが、そこには様々な可能性が秘められており、植物の創造力が現れる現象の1つとも言えます。
平子の作品中に必ず登場する、人の頭部が植物に置き換えられたモチーフは、まさにこの「接ぎ木」の技術で植物と人間を融合させたイメージのようです。そこには、植物と人間の共存の多様な可能性に期待する平子の気持ちが込められており、周囲の色鮮やかな風景には多種多様な植物と物語が接ぎ木のようにコラージュされて、一種のユートピアを創出しています。
本展では、平子の最大の魅力である100号(130 x 162cm)以上の大型ペインティング4-5点を中心に、新作のインスタレーション1点・彫刻4-5点・ドローイング数点を展示致します。大きな画面を余すところなく使用し、積み重ねられた物語のレイヤーが創りだす迫力の世界観を、この機会に是非ご高覧下さい。