WAITINGROOMは、スイスのバーゼルにて2026年6月15日(月)から21日(日)に開催される『Liste Art Fair Basel 2026』(ブースNo.:#76)に、川内理香子のソロプレゼンテーション『Sew』で出展いたします。
川内は幼少期から食べることや身体の機能に強い関心を持ち、摂取、消化、排出といった身体の循環に対する違和感を出発点として制作を行ってきました。クロード・レヴィ=ストロースの著作『生のものと火を通したもの』に触れたことを契機に、身体の変成や自然と文化の関係性に関心を深め、ドローイングやペインティングに加え、針金、ネオン、石など多様な素材を用いて身体の変容や循環をテーマとする作品を展開しています。多様な素材を扱う彼女の作品には、常に「線」が重要な要素として存在し、制作を通して「捉えがたい身体や目に見えない思考の動きを線に留めている」と本人は語っています。
Liste Art Fair Basel 2026でのソロプレゼンテーションでは、刺繍、ドローイング、ペインティング、彫刻を組み合わせ、ブース全体を一つのインスタレーションとして構成します。200号の大型刺繍作品を中心に、川内がこれまで追求してきた「線」による表現を空間的に拡張することで、身体の内と外、保護と侵入といった境界を探究し、その絶え間ない揺らぎを鑑賞者自身が体感できるようなプレゼンテーションを試みます。

Left: It looks like it still has plenty , 2026, embroidery, thread on fabric, wooden frame,
1303 × 970 × 50 mm
Right: Sew, 2025, oil on canvas, 455 × 530 mm

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VIPプレビュー(招待制)
6月15日(月)11:00-18:00
オープニング(入場無料)
6月15日(月)18:00-20:00
一般公開日
6月16日(火)12:00-20:00
6月17日(水)12:00-20:00
6月18日(木)12:00-20:00
6月19日(金)12:00-20:00
6月20日(土)12:00-20:00
6月21日(日)11:00-16:00
会場:メッセ・バーゼル、ホール1.1(バーゼル、スイス)
詳細:https://www.liste.ch/en
ブース番号:#76
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1990年東京都生まれ。2017年に多摩美術大学大学院・美術学部・絵画学科・油画専攻を修了。現在は東京を拠点に活動。近年の主な展覧会として、Rikako Kawauchi x Edward Dwurnik『THE HEAD』(2026年、Edward Dwurnik Foundation、ワルシャワ、ポーランド)、個展『The Blade of the Forest Within』(2026年、Gana Art Hannam / Gana Art Namsan、ソウル、韓国)、個展『Humans and Tigers』(2025年、WAITINGROOM、東京)、個展『The shape of water hardens into stone.』(2025年、黒部市美術館、富山)、個展『Inner Vector: 11, 72, 2154』(2025年、Beyond Gallery、台北、台湾)、グループ展『開館5周年記念展 ニュー・ユートピア―わたしたちがつくる新しい生態系』(2025年、弘前れんが倉庫美術館、青森)、個展『Paintings & Drawings – Food, animals, organs, plants, bodies, etc, everything outside me is everywhere in the air. I breathe them in, I breathe them out.』(2024年、Van der Grinten Galerie、ケルン、ドイツ)、個展『Under the sun』(2024年、アニエスベー ギャラリー ブティック、東京)、グループ展『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』(2024年、東京都現代美術館、東京)、個展『The Voice of the Soul』(2023年、ERA GALLERY、ミラノ、イタリア)、グループ展『Body, Love, Gender』(2023年、Gana Art Center、ソウル、韓国)、グループ展『平衡世界 – 日本のアート、戦後から今日まで』(2023年、大倉集古館、東京)、グループ展『アーツ前橋開館10周年記念展 – New Horizon 歴史から未来へ』(2023年、アーツ前橋、群馬)などが挙げられます。また、2014年『第1回CAF賞』では保坂健二朗賞、2015年『SHISEIDO ART EGG』参加の際はSHISEIDO ART EGG賞、2021年『TERRADA ART AWARD 2021』では寺瀬由紀賞、2022年『VOCA展2022 現代美術の展望 – 新しい平面の作家たち -』では大賞のVOCA賞を受賞するなど、若手ながら確かな実力を持つ注目の作家です。作品は、金沢21世紀美術館(石川)、アルベルティーナ美術館(オーストリア・ウィーン)、弘前れんが倉庫美術館(青森)、アーツ前橋(群馬)、愛知県美術館(愛知)などに収蔵されています。
『Liste Art Fair Basel 2026』でのソロプレゼンテーション『Sew』では、蜘蛛の巣をモチーフに、身体の内と外が曖昧に混ざり合う流動的な空間を作り出します。大型刺繍作品《House of the mouth》(2026)を中心に、ボール型の彫刻作品《Beating》(2026)やペインティング作品《Sew》(2025)、複数のドローイング作品を有機的に組み合わせ、ブース全体を一つのインスタレーションとして構成します。
《House of the Mouth》(2026年)は、蜘蛛の巣をモチーフとした大型刺繍作品であり、内と外の不可分性を象徴しています。本作品では、蜘蛛の巣が身体の延長として提示されます。身体から伸びる糸によって紡がれる蜘蛛の巣は住処であり、罠であり、同時に捕食の場でもあります。それは外在化された器官であると同時に、内面化された避難所でもあるのです。こうした複雑な網目構造の中には、植物・動物・人間的な形象が共存し、変容しながら展開する豊かな神話的世界が広がっています。クラウド・レヴィ=ストロースの神話構造に関する著作を参照しながら、川内は、既存の境界を横断し、見かけ上の対立を媒介する存在に関心を寄せています。さまざまな神話的伝統において、境界的かつ変容的な存在として現れる蜘蛛は、自然と文化、内と外、自己と他者といった区別を、豊かな曖昧さの状態へと回帰させる媒体となっています。
《Beating》 (2026)では、ボールが運動や生命の象徴として扱われます。「毬(まり)は跳ねている間だけ生命を宿す」という中国の伝承や、息を吹き込むことで物に生命が宿るという神話的イメージを参照しながら、本作品は生命の循環を表現しています。川内にとってボールは、生命や人体、風を体現する存在であると同時に、生きて動く身体の起源である「心臓」とも重なり合う存在です。
《Sew》(2025)では、外部の要素が身体の循環へと取り込まれる様子が描かれています。刺繍において針が布を行き来することで表裏の糸が一体となる構造が、この循環のイメージに重ねられています。
これらの作品群は、内と外、身体と精神、自己と他者、自然と文化といった二項対立を横断し、人間中心主義的な視点を問い直します。キキ・スミス、アネット・メサジェ、ルイーズ・ブルジョワといった身体を主題としてきた女性アーティストの系譜を踏まえつつ、本展示では、蜘蛛の巣を「身体の外部化された内臓」あるいは「内側に取り込まれた住処」 として捉え、身体と環境の関係を現代的な視点から再考します。

Left: grab, 2026, watercolor and pencil on paper, 257 × 182 mm
Center: Being able to relax with you, 2023, watercolor and pencil on paper, 410 × 318mm
Right: In my hands, 2026, watercolor and pencil on paper, 410 × 318 mm