このたびwaitingroomでは、2011年2月26日(土)から4月3日(日)まで武居(たけすえ)功一郎 個展『PICTURE ELEMENT』を開催する運びとなりました。初個展『立ち止まる/STOPPING AT』(2009年, waitingroom、東京 )に続き、武居にとって二度目の個展となる本展では、武居が取り組んでいるデジタルペインティングの新作を展示いたします。
作品について
武居は、自身が撮影した自然の風景写真をパソコンに取り込み、一見すると古典的な油彩画のマチエールを思わせるパターンを用いてデジタル処理しています。膨大な作業によって処理され、ヴァーチャルな筆致を持つその画面は、フラットな出力紙との相反効果も作用し、既視感と不可思議さのはざまで観者の知覚を揺さぶります。
武居が描くポストデジタル時代の風景
武居が作品制作にデジタル技術を用いるようになった背景には、画家への憧れと挫折があります。しかし、デジタル作品の制作を続けるうち、そこに物質性を感じるようになったと同時に、依然として残るデジタル作品とアナログ(ハンドメイド)作品の優劣関係に疑問を抱くようになったと武居は言います。
デジタル技術を用いた作品制作やオンライン上での作品制作・発表が既に特別なものではないポストデジタル時代において、武居はデジタル作品に物質性を表出させようとします。それは、単純に印画紙に出力してタンジブルなものにすることや、絵画の絵肌=アナログな質感を再現することではなく、リアルとヴァーチャルの感覚的並列化、デジタル作品とアナログ作品の優劣関係に対する武居の挑戦であり、ポストデジタル時代に武居がリアルに感じる風景の提示といえます。
また、本展のタイトルである「PICTURE ELEMENT」は、今日においては「(デジタル画像の)ピクセル、画素」と解釈されますが、字義通り読めば「絵画の要素」となります。武居の作品は、まさにこのダブルミーニングの具体化でもあります。
展覧会について
本展では、大判の印画紙に出力した作品から、カラーセロファンを用いた小作品群まで、約15点ほどの作品を展示予定です。「ピクセルを通して見える物質性と非物質性」(武居)をテーマに武居が描く風景をこの機会に是非、ご高覧頂けますようお願い申し上げます。