この度、WAITINGROOM(東京)はCADAN有楽町にて、川内理香子の個展『Please Don’t Disturb』を開催いたします。川内は、「身体」という根源的なテーマを軸に、ペインティングやドローイング、針金やネオン管など、多岐にわたる素材を用いて作品を制作しているアーティストです。近年は、消化や排泄、料理をテーマとした各地の神話の中に象徴的に登場する、動物や人体の一部などのモチーフを、色彩豊かに描いたペインティング作品でも知られています。
本展で川内は、ホテルとそこに置かれたアイテムをモチーフにしたペインティングの新シリーズと、アンティーク家具を台座としたネオン作品を発表いたします。川内は、ホテルを一時的な家として捉え、そこに「私のもの」としての親密さと「誰かのもの」としての他者性を見出します。そこに立ち現れる自他の境界の曖昧さを、身体性と重ね合わせる新シリーズに、是非ともご期待ください。《Room 1925》2024、キャンバスに油彩、455 x 530 mm
1990年東京都生まれ、2017年に多摩美術大学大学院美術研究科 絵画専攻油画研究領域を修了。現在、東京を拠点に活動中。食への関心を起点とし、身体と思考、自己と他者、それらの境界の不明瞭さや、消化や排泄、食べることとそこから作られる身体を世界創造の起点とする神話の世界などをモチーフに作品を制作しています。
大学在学中の2014年に参加した公募グループ展『CAF ART AWARD2014』で保坂健二朗賞を受賞後、15年に新進アーティストを対象にした公募プログラム『shiseido art egg』にてshiseido art egg賞(大賞)を受賞。21年『TERRADA ART AWARD 2021』ファイナリスト選出、寺瀬由紀賞受賞。22年『VOCA展2022 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─』にて大賞のVOCA賞を受賞。近年の展覧会に、2024年個展『Under the sun』(アニエスベー ギャラリー ブティック/東京)、グループ展『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』(東京都現代美術館 / 東京)、2023年個展『Even the pigments in paints were once stones』(WAITINGROOM/東京)、個展『The Voice of Soul』(ERA GALLERY/ミラノ、イタリア)、グループ展『アーツ前橋開館10周年記念展 New Horizon―歴史から未来へ』(アーツ前橋/群馬)、22年個展『Lines』(VAN DER GRINTEN GALERIE/ケルン、ドイツ)など。主なコレクションに愛知県美術館などが挙げられます。
ホテルの室内は親密な空間だ。
自分の身体の中のように、外からは不可視な部屋の中。
自分の家ではないが、家のような近さを持って、明日には誰かがそこで誰かの過ごし方で部屋のものたちは整えられたり、散らかされたり、それぞれの空間が作られる。
いっときのマイホーム。
眠りと目覚めの狭間ような曖昧さを持つプライベートなその部屋で、
誰かはどのように過ごしただろうか。
次の日、別の誰かはどのように過ごすだろうか。
その部屋の鍵を受け取れば、ぐっと自分に引き寄せられたり、チェックアウトすると急に閉ざされたりするホテルの部屋のものたちは、身体の中で機能する臓器と同じように近く意識されたり、自分のコントロールが及ばないような、距離が掴めなくなる不明瞭さと、どこか似ているように思える。
川内理香子
本展覧会は、お申し込み制で作品販売を行なっております。
会場にてスタッフにお問い合わせいただき、直接お申し込みいただくか、
info@waitingroom.jpにメールでお問い合わせください。
メールでのお申し込みも受け付けております。
本展の会期中、CADAN有楽町 Space MではThe Third Gallery Aya(大阪)による山沢栄子の個展が開催され、Space SではThe Third Gallery Ayaとの共催で、川内理香子と赤崎みまの作品を紹介いたします。
「YAMAZAWA Eiko」
展示作家:山沢栄子
会場:CADAN有楽町 Space M
企画:The Third Gallery Aya
詳細:https://cadan.org/cadanyurakucho_12spacem/
©山沢栄子《What I Am Doing No,24》
「AKASAKI Mima and Rikako Kawauchi」
会場:CADAN有楽町 Space S
企画:WAITINGROOM & The Third Gallery Aya
詳細:https://cadan.org/cadanyurakucho_12spaces/
左:川内理香子《in the drawer》2024、キャンバスに油彩、455 x 530mm
右:赤崎みま《Untitled》1998、イルフォクロームプリント、520 × 1010 mm