WAITINGROOM(東京)では、2021年5月29日(土)から6月27日(日)まで、浦川大志・小林健太・山形一生によるグループ展『まなざしのカタチ.02』を開催いたします。2020年2月に開催したグループ展『まなざしのカタチ』から拡張された企画で、第1回目は3名の女性ペインターそれぞれの眼差しが交差した展覧会でしたが、本展は3名の男性アーティストが、絵画・写真・映像という異なったメディウムを通してそれぞれの「まなざし」を表現するグループ展になっております。是非ともご高覧ください。
浦川 大志(うらかわ・たいし)
左:《部屋の隅(黴)》2021年、パネルに綿布、ジェッソ、アクリル、910×520mm 右:《無駄意》2021年、パネルに綿布、ジェッソ、アクリル、910×520 mm
1994年福岡県生まれ。2013年に九州産業大学芸術学部美術学科を卒業。現在は福岡県を拠点に活動中。 浦川大志は、スマートフォンを通して取得した情報や身体感覚をもとに、デジタル的な筆致を特徴とする絵画作品を制作しているアーティストです。その制作方法は、画像検索やSNSを使って集めた画像やイラストを、自身が撮影した写真と組み合わせて「風景画」として構築するというものであり、出品作である新作も同様の方法で制作されています。断片的な現実で作られた風景画は、スマートフォンなどが持つディスプレイが最も身近な平面となり、インターネットによって常に手軽に仮想世界への接続が可能となった現代における、私たちの視覚への影響や変化を示唆しているようです。
近年の展覧会に、2019年グループ展『浦川大志&名もなき実昌 二人展「終わるまで終わらないよ」』(熊本市現代美術館、熊本)、2018年グループ展『新しい平面の作家その一部コア ――梅沢和木、浦川大志、百頭たけし』(ゲンロン カオス*ラウンジ 五反田アトリエ、東京)、グループ展『VOCA展2018』(上野の森美術館、東京)にて大原美術館賞受賞、2016年個展『個展』(ギャラリーおいし、福岡)、2015年個展『現れては消えるもの』(Gallery門馬&ANNEX、北海道)などが挙げられます。
小林 健太(こばやし・けんた)
左:《Shibuya_1-9, #9squares #smudge》2020年、インクジェット・プリント 右:《Tokyo Tower #blur #sharpness 》2019年、アーカイバル・ピグメント・プリント
1992年神奈川県生まれ。2016年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業。現在は東京都と湘南を拠点に活動中。 小林健太の作品は、自身で撮影した写真に大胆なデジタル加工を施して制作されています。本展では、渋谷の夜景や日常風景がモチーフの平面作品、写真へのデジタル加工部分を抽出した立体作品に加え、2017年の個展で発表した作品を発展させた、スニーカーと自動車をコラージュした新作も発表します。現代的なデザインとして見慣れた、靴や自動車、建築などにみられる曲線美は、時に人々の情緒を刺激し扇動すら促します。そのような美的感覚はテクノロジーの進歩によって生まれた価値観であり、自身もそのような美しさに惹かれていることを自覚的に取り入れて制作される小林の作品には、一見、テクノロジーを操りきれているように見える人間は、実は逆にそれらに操作されていると言えるのではないかという、現代における都市や日常に対する眼差しが色濃く反映されています。
近年の展覧会に、2020年個展『Live in Fluctuations』(Little Big Man Gallery、アメリカ)、2019年個展『The Magician’s Nephew』(rin art association、群馬)、2018年グループ展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』(水戸芸術館、茨城)、2017年個展『自動車昆虫論/美とはなにか』(G/P gallery、東京)、2016年グループ展『GIVE ME YESTERDAY』(フォンダンツィーネ・プラダ・ミラン・オッサヴァトリオ、ミラノ・イタリア)などが挙げられます。 2019年には、マーク・ウェストン率いるダンヒル、2020年春夏コレクションとのコラボレーション、またヴァージル・アブロー率いるルイ・ヴィトン、メンズ秋冬コレクション2019のキャンペーンイメージを手がけました。
山形 一生(やまがた・いっせい) 《Airbag(仮)》2021年、ビデオスチル
1989年埼玉県生まれ。2015年に東京藝術大学大学院美術研究科 絵画専攻(油画)を修了。 山形一生の作品の多くは、動植物の飼育経験や、ゲームやインターネット上での経験をもとに、コンピューターグラフィックスを用いて制作されています。本展において山形は、複数の映像作品を発表します。映像は、南国の植物や血のついたベッド、電車や飛行機の車窓といった、3DCGによって生成された風景と字幕によって語られる内容とが組み合わさって展開されますが、その物語は、行く宛が一向に示されないまま進行し続けます。目的地がないまま移動を続ける、まるで根を削がれたような物語や、卵や植物、血液といった有機的なモチーフが、粒子の荒いドットや細部の情報が削がれた3DCGによって描写され、仮想的に表現される山形の作品は、私たちを含む生命の生々しさや流動性を、現実味をもって意識させます。
近年の展覧会に、2021年グループ展『沈黙のカテゴリー|Silent Category』(クリエイティブセンター大阪、大阪)、2020年個展『Fasten your seat belt』(TAV Gallery、東京)、グループ展『ENCOUNTERS』(ANB Tokyo、東京)、グループ展『パンゲア・オン・ザ・スクリーン』(TAV Gallery、東京)、2019年グループ展『きりとりめでると未然の墓標(あるいはねこ動画の時代)2019-2020』(パープルームギャラリー、神奈川)、グループ展『the wrong biennale』(オンライン)、2017年グループ展『party』(オークビルディング3F、東京)、グループ展『optical camouflage』(遊工房アートスペース、東京)、2015年個展『スタンダード・サプレッサー』(トーキョーワンダーサイト本郷、東京)などが挙げられ、2018年には映像作家100 – NEWAWARDSにて最優秀賞を受賞しています。