小林健太『トーキョーデブリス』

2022年4月2日(土)- 5月1日(日)
・営業日:水~土 12:00~19:00 / 日 12:00~17:00
・定休日:月・火 ※4月29日(祝)は開廊
・オープニングレセプションは開催致しません。
展示風景
作品
Tokyo Debris
2022
インクジェットプリント (設置場所によって可変), サイズ可変
Broken Mirror
2022
アクリルミラー, 700 x 650 x 480 mm
Acceleration, Variation, Coolness
2022
フォトアクリル、鉄, 1800 x 1470 x 490 mm
The Mythical City
2022
フォトアクリル、鉄, 1260 x 1330 x 450 mm
Nostalgic Shapes
2022
フォトアクリル、鉄, 850 x 835 x 260 mm
Nihilistic glitter
2022
フォトアクリル, 直径 1200 mm
9 debris
2022
Single and/or multiple channel videos
Nothing lasts forever
2022
NFT作品
Data loses its meaning eventually
2022
NFT作品
Signal flying away somewhere
2022
NFT作品
Technological Development and relativity of time
2022
NFT作品
Used game software
2022
NFT作品
Orbital emotions
2022
NFT作品
Personal memories and decorative value
2022
NFT作品
Conversations with creators
2022
NFT作品
Debris of colors
2022
NFT作品
Dual Image ◐
2021
アクリルフォト、レンチキュラー、額, 1030 x 691 x 39 mm
Don Quijote2 #smudge
2016
アーカイバルピグメントプリント、額, 740 x 500 mm
Zombie #blur #sharpness
2018
アーカイバルピグメントプリント、額, 1030 x 728 mm
Pink Hair #blur #sharpness
2018
アーカイバルピグメントプリント、額, 500 × 335 mm
Dougenzaka, #blur #sharpness
2016
アーカイバルピグメントプリント、額, 500 × 335 mm
Dennou #smudge
2017
アーカイバルピグメントプリント、額, 500 × 335 mm
プレスリリース
PDF

WAITINGROOM(東京)では、2022年4月2日(土)から5月1日(日)まで、小林健太の新作個展『トーキョーデブリス』を開催いたします。小林健太は、自身で撮影した写真をデジタル加工により大きく変化させた色鮮やかな写真作品シリーズで知られています。当ギャラリーで初の個展となる本展では、「都市に住う人間の記憶のカケラ」をイメージの断片として、「破片(デブリ)」をモチーフとした表現で新作に昇華させます。壊れた鏡の破片の形状をアクリルミラーで再構成した立体作品、破片の形状をアクリルマウントされた写真に反映させ、複数の破片を組み合わせたレリーフ状の新シリーズ、壊れた鏡に都市風景が映り込むCGで制作されたイメージを円形のアクリルマウントにした写真作品、そして自身初のNFT作品など、写真を軸に様々な素材へと表現を拡張させた新作群を、巨大なグラフィックを床面に敷いたギャラリー空間全体に展示いたします。


“Tokyo Débris” イメージ

作家・小林健太について
1992年神奈川県生まれ。2016年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域を卒業。現在は東京都と湘南を拠点に活動中。
自身で撮影した写真に大胆なデジタル加工を施した代表的な写真作品シリーズをはじめ、写真表現を様々なメディウムへと拡張させ、現代においてテクノロジーや社会構造と密接に関係する美的感覚を問いかける作品を制作しています。近年の展覧会に、2022年個展『Space-Time Continuum』(西武渋谷店 / 東京)、2021年個展『#smudge』(ANB Tokyo / 東京)、グループ展『I am here by WAITINGROOM』(CADAN有楽町 / 東京)、『まなざしのカタチ.02』(WAITINGROOM / 東京)、2020年個展『Live in Fluctuations』(Little Big Man Gallery / アメリカ)、2019年個展『The Magician’s Nephew』(rin art association / 群馬)、2018年グループ展『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』(水戸芸術館 / 茨城)、2017年個展『自動車昆虫論/美とはなにか』(G/P gallery / 東京)、2016年グループ展『GIVE ME YESTERDAY』(フォンダンツィーネ・プラダ・ミラン・オッサヴァトリオ / ミラノ・イタリア)などが挙げられます。2019年には、マーク・ウェストン率いるダンヒルの2020年春夏コレクションとのコラボレーション、またヴァージル・アブロー率いるルイ・ヴィトンのメンズ秋冬コレクション2019のキャンペーンイメージを手がけました。

アーティスト・ステートメント
トーキョーデブリス
“スクランブルスクエアの屋上から東京を眺めたら、無数の細かい破片が夕日に照らされてチカチカ光っているように見えた。当てもなく上に伸びていくコンクリートのビルの間で、俺たちはしぶとく生きている。制御されたものと制御から溢れたものが編み出す眼下の光景に、写真は一体何ができるんだろう。トーキョーはデブリだらけ。再開発、SNS、イメージの氾濫、ノイローゼ、データ至上主義、NFT……。情熱の籠らない虚な瞳はスマホのディスプレイを繰り返し追ってみる。抑圧された生がマスク越しの告白が、バラバラに成ったトーキョーデブリスの合間に閃いている。身を翻して飛んでいく名も無き鳥に憧れ、四つ脚で地を駆る獣たちを羨むのなら、俺たちもこの血を燃やせばいい。拝金主義と中途半端な優しさに身を染めた屍を踏みしめて、恋をして酒を飲み汚れ踊ったらいい。情緒の手綱を一度手放せばもう二度と元には戻らない。それがお前たちが見ている大人の姿だ。俺もそう、きっと半分くらい屍だ。だから跳び越えろ。トーキョーデブリスを舞台装置に、乱反射するLEDの光と太陽の輝きを背景に、生きる実感をその体に灯せ。”
小林健太


左:“Broken Mirror”, 2022, アクリルミラー, 700 x 650 x 480 mm
右:“Acceleration, Variation, Coolness”, 2022, フォトアクリル, 鉄, 1800 x 1470 x 490 mm

無数の視線の断片が築く都市・東京
視覚的に大きなインパクトを持つ小林健太の作品は、どんな素材が用いられていても、「写真とは何か」という非常に根源的な問いから出発しています。「光で描く」という本来の語源通りではなく「真」を「写す」ものと日本語に訳された写真という表現方法に軸足を置きながら、「真(まこと)」とは何か、それを「写す」とはどういうことかを問い続けています。3月に開催された「アートフェア東京2022」で初めて発表した、壊れた鏡の破片をアクリルミラーを用いて再構成した立体作品『Broken Mirror』は、「現実を映し出す」写真的行為を写真を使わずに表現できないかと模索した際に鏡を用いて、映り込む周囲の環境を乱反射させることを着想したといいます。
ウェブやSNSが当たり前のものとなった現在、それらに続く巨大デジタルプラットフォームとして、AR(拡張現実)技術に支えられた「ミラーワールド」が誕生しつつあると言われています。ウェブは情報を、SNSは人々のコミュニケーションのデジタル化を加速させ、「ミラーワールド」はそれ以外の全てのものを、現実と対になるようにデジタル化するというもので、今はまだ並行しているように感じられる現実世界と仮想世界が融合する未来がそう遠くないことを予感させます。現実世界を無数の視点から精巧にスキャンすることで出来上がる「ミラーワールド」は、断片的な無数の写真の集積に支えられたものになるでしょう。
開発が進む東京を、小林は「デブリだらけ」と表現し、ミラーワールドからこぼれ落ちるであろう「記憶」「情緒」「身体性」を写真というメディアで捉えることに挑みます。都市の風景は様々なものが同時多発的に混在することで形作られており、私たちはその現実の断片を、誰かが撮った写真によって認識しているに過ぎないのかもしれません。色彩や形状が大きく変容した小林健太の写真の中に既知の東京の風景の断片を見つけた時、「美しい」と感じる自身の美的感覚こそが、今この現実を生きているという実感なのではないでしょうか。そして同時に加速するこの世界において、イメージと現実を切り離すことが困難であることも、強く認識させられます。東京の断片を写し出したデブリの集積を、多様な素材を用いて拡張する写真表現をみせる小林健太の新作群に、ぜひご期待ください。

作家略歴


2021年個展『#smudge』会場風景(ANB Tokyo、東京)

1992年 神奈川県生まれ
現在、東京都と湘南を拠点に活動中

学歴

2016 東京造形大学 造形学部美術学科 絵画専攻領域 卒業

個展

2022
Space-Time Continuum – 西武渋谷店(東京)

2021
#smudge – ANB Tokyo(東京)

2020
CALENDAR – People(東京)
Live in Fluctuations – Little Big Man Gallery(ロサンゼルス・アメリカ)

2019
The Magician’s Nephew – rin art association(群馬)
Kenta Cobayashi. Portraits curated by Marcella Manni – Nonostante Marras, Vogue Photo Festival(ミラノ・イタリア)
Photographic Universe, curated by Francesco Zanot – Fotografia Europea 2019(レッジョ・ネレミリア・イタリア)
Rapid Eye Movement – IMA gallery(東京)

2017
自動車昆虫論/美とはなにか – G/P gallery(東京)

2016
#photo – G/P gallery(東京)

グループ展

2021
I am here by WAITINGROOM – CADAN有楽町(東京)
constellation#02 – rin art association(群馬)
まなざしのカタチ.02 – WAITINGROOM(東京)
新しい実存 – New Existentialism – Unexistence Gallery(オンライン)・HULIC &New UDAGAWA(東京)
Photo 2021: The Truth – Franklin St East(メルボルン・オーストラリア)

2020
SOURCE/ADIT: Studio TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH, ENCOUNTERS – ANB Tokyo(東京)
Nature is Not your Household(オンライン)
constellation #01 – rin art association(群馬)

2019
来るべき世界:科学技術、AIと人間性 – 青山学院大学 青山キャンパス(東京)
浅間国際フォトフェスティバル2019 – Photo MIYOTA(長野)
n e w f l e s h – curated by Efrem Zelony-Mindell – The Light Factory(ノースカロライナ・アメリカ)
TENNOZ ART FESTIVAL 2019 – 天王洲エリア ふれあい橋橋梁(東京)
#005 PHOTO Playground – Ginza Sony Park(東京)
Arte Fiera 2019 – Bologna Exhibition Center(ボローニャ・イタリア)

2018
2018 SEOUL PHOTO FESTIVAL <BRAVE NEW WORLD> – Buk Seoul Museum of Art(ソウル・韓国)
Unseen Amsterdam 2018 – (アムステルダム・オランダ)
Breda Photo Festival – (ブレダ・オランダ)
浅間国際フォトフェスティバル2018 – Photo MIYOTA(長野)
From My Point of View – Metronom(モデナ・イタリア)
ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて – 水戸芸術館(茨城)
Tokyo Before/After – The Japan Foundation(トロント・カナダ)

2017
Forever Fornever – Bannister Gallery(プロビデンス・アメリカ)
Unseen Amsterdam 2017 – (アムステルダム・オランダ)
Guangzhou Image Triennial 2017 – Guangdong Museum of Art(広州・中国)
FORMAT International Photography Festival – (ダービー・イギリス)

2016
GIVE ME YESTERDAY – フォンダンツィーネ・プラダ・ミラン・オッサヴァトリオ(ミラノ・イタリア)
asdfghjkl;’ x くぁwせdrftgyふじこlp – 3331 Arts Chiyoda(東京)
新しいルーブ・ゴールドバーグ・マシーン – KAYOKOYUKI(東京)・駒込倉庫(東京)
New Material – Casemore Kirkeby(サンフランシスコ・アメリカ)
Close to the Edge: New Photography from Japan – MIYAKO YOSHINAGA(ニューヨーク・アメリカ)
NEW VISIONS #2 – G/P gallery shinonome(東京)

2015
Trans-Tokyo / Trans-Photo Jimei×Arles East West Encounters International Photo Festival(厦門・中国)
ゲシュタルトクライス―導かれる身体/越境する平面― – HAGISO(東京)
The Devil May Care – Noorderlicht Photogallery(グローニンゲン・オランダ)
hyper-materiality on photo (Photo London) – Somerset House(ロンドン・イギリス)
hyper-materiality on photo – G/P gallery SHINONOME(東京)
New Japanese Photography – DOOMED GALLERY(ロンドン・イギリス)
中里周子+小林健太 feat. Psychic VR Lab “ISLAND IS ISLANDS” – G/P gallery SHINONOME(東京)
TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD NEW VISIONS #1 – G/P gallery SHINONOME(東京)

2014
Multi(Multi)(ple(s)) – The Container(東京)
The Exposed #7 – G/P gallery SHINONOME(東京)
ピクチャーパーティ2 – TAV Gallery(東京)
ピクチャーパーティ1 – 渋家(東京)

2013
MEGA MAX GIGA GREAT ZERO ZILLION NEBULA NOVA – TANA Gallerybookshelf(東京)
THE NEW BLACK – UltraSuperNew Gallery(東京)
ギグメンタ2013 渋家「イケる気がする展」〜第一回渋家アート選手権大会〜 – HIGURE 17-15 cas(東京)

主なコラボレーション/キャンペーン

2020
ダンヒル  ‘Blue Capsule Collection’ by Mark Weston(コラボレーション) – ロンドン・イギリス

2019
ダンヒル 2020年春夏コレクション(コラボレーション) – ロンドン・イギリス
ルイ・ヴィトン メンズ秋冬コレクション2019(キャンペーンイメージ) – パリ・フランス

2018
Unseen Amsterdam 2018(キャンペーンイメージ) – アムステルダム・オランダ

アワード

2015 TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD 2015 グランプリ

主な出版物

『FROM CAMERA ROLL』, Newfave、2020年
『BROKEN MIRRORS drawing and splitting』, アートビートパブリッシャーズ supported by FUJIXEROX、2020年
『Everything_2』, Newfave、2020年
『Everything_1』, Newfave、2016年

パブリックコレクション

サンフランシスコアジア美術館
Tokyo Before/After – 国際交流基金
アマナコレクション
高橋コレクション

アーティストウェブサイト
https://kentacobayashi.com


新作NFT作品・イメージ画像

アーティスト
小林健太
Kenta COBAYASHI