グループ展 SLASH / 08『醒めない蜜の味をちょうだい』

2012年11月17日(土)- 12月23日(日)
オープニングレセプション:11月17日(土)18-21時
作品
高木大地 Still life
2012
キャンバスに油彩, 53×45.5cm
高木大地 Untitled
2012
キャンバスに油彩, 24.2×45.5 cm
高木大地 torso
2012
キャンバスに油彩, 65.1×50 cm
高木大地 Landscape
2012
キャンバスに油彩, 65.1×50cm
高木大地 seascape
2012
キャンバスに油彩, 53×53 cm
高木大地 Untitled
2012
キャンバスに油彩, 27.3×22cm
高木大地 Untitled
2012
キャンバスに油彩, 33.3×24.2 cm
大野綾子 植物と花 [樹木]
2012
砂岩, 15×29.5×7 cm
大野綾子 植物と花 [花1]
2012
御影石, 12×19×15.5 cm
大野綾子 植物と花 [花2]
2012
御影石, 18×7×16 cm
大野綾子 植物と花 [紅葉]
2012
御影石, 4×12×3.5 cm
大野綾子 植物と花 [草]
2012
砂岩, 123×18×12 cm
大野綾子 Bijou
2012
御影石, 33.5×23.8×8.5cm
大野綾子 Bijou
2012
大理石, 油土, 15×14.8×8.6 cm
プレスリリース

このたびKAYOKOYUKIは、恵比寿にありますwaitingroomにて、連続シリーズ『SLASH』を開催致します。『SLASH』展は、複数人のアーティストをとりあげ、シリーズで展開していく企画展です。

この企画『SLASH』では、単に2人のアーティストを並べて展示するだけではなく、事前に幾度となくミーティングを重ね、お互いのイメージや意識を深く理解するところから始めていきます。その上で、それでは作品を通して、自分たちは社会にいったい何を提示できるのか、何がおもしろいのか、何が可能であるのかを話し合い、展示プランを決めます。また、それはDMのデザインにも及び、2人の共通する目的からキーワードを上げ、アートディレクターのCRAFTIVEとともに一つの作品を生み出すように制作されています。その時代の流行や、1人のアーティスト、キュレーターの視点に委ねるのではなく、それぞれの立場で考えを出し合い、自らの手でまず価値をつくっていくことこそが必要であると考えています。個人で完結するのではなく、また勝ち負けではないところで、それぞれの思想が交わること、そこから生まれる想像力の多様性を信じて探っていきます。

第8回目となる『SLASH/08 -醒めない蜜の味をちょうだい-』(11/17-12/23)では、彫刻家の大野綾子(Ayako Ohno)とペインターの高木大地(Daichi Takagi)の2人展を開催します。


左:大野綾子「地下の山」2011, 石, w210 x d60 x h80cm
右:高木大地「Landscape」2012, Oil on canvas, 65.1×50.0cm

大野綾子は、2008年に東京藝術大学大学院を修了し、在学中から一貫して石を主な素材として扱い、彫刻作品を制作してきました。公園や海岸など屋外のパブリックスペースで作品を設置している他、ギャラリーや美術館などでも発表を続けています。今年度の〈第7回大黒屋現代アート公募展2012〉にて大賞を受賞しました。高木大地は、多摩美術大学大学院を修了し、〈アートアワードトーキョー丸の内〉行幸地下ギャラリー(東京/2010)、末永史尚キュレーションによる〈SSS-expanded painting〉MISAKO & ROSEN(東京 / 2010)、〈still life / landscape, abstract〉Remasta.(東京 / 2011)、〈現代美術の新世代展〉極小美術館(岐阜 / 2012)に出展するなど、今後ますます活躍が期待されるペインターです。
近年、アート作品は様々な素材と方法によって試され、鑑賞者に受け入れられてきました。イメージを実現する為の選択肢が多様化する中、今回紹介する2人の作家は、石の彫刻と油彩絵画という、長いアートヒストリーの中でも言わばオーソドックスに扱われてきた技法で制作を続けています。鑿(のみ)と金槌を使って石を彫る、また油絵の具と筆でキャンバスに描くということ、これはかつての誰かが発明した技術で、それ自体は借り物のシステムです。これを自覚した上で歴史と向き合う覚悟を決め、現代を生きる自分を表現するということとは、果たしてどういうことなのでしょうか。

大野綾子はまずスペースの天井から俯瞰して見たドローイングをし、そこから石という、それ自体すでに歴史と時間を重ねた物質を素材に彫刻し、空間に配置していきます。制作中にアンモナイトが出現することもあるそれを、彼女は「考えても仕方がないこと。あくまでも初期衝動的なイメージにいかにして近づけるか、その為の素材と行程として選んでいる。」と言います。高木大地は西洋絵画に影響を受けながらも、それらを自分の価値観から見つめ、限られた画面の上でどの様な図を描くか、あるいはどう配置していくかを、絵画の可能性を探るようにして制作しています。彼らから表れた形は、ヒントとなり得るわかりやすいモチーフやメディアなどの手がかりが少ない分、一見すると無機質に映るかもしれません。しかしその微細な痕跡をたどれば、身体というフィルターを通して抽象化された、現代を生きる作家像が現れてくるかもしれません。

展覧会タイトルの『醒めない蜜の味をちょうだい』には、方法論だけで語られ終止してしまうのではなく、そうしてある一定の時間をかけて鑑賞することでしか見えて来ないものを、できるだけ長く体験として残してほしいという願いが込められています。

※「SLASH」とは…
ファンが作った2次創作作品(ファン・フィクション)の中で、キャラクター同士が結びつくようなカップリングを示す際に間にスラッシュ記号( / )を入れたことから、それらを総称して「スラッシュもの」と呼ばれています。

アーティスト
大野綾子
Ayako OHNO
高木大地
Daichi TAKAGI