waitingroomでは、2013年11月30日(土)~2014年1月12日(日)まで、神谷泰史 個展『関係性のモアレ』を開催いたします。音の持つ偶有性と展示環境の空間を用いて、音の解釈に多様性を与え、意図しない美しさの発見を促すような試みを続ける神谷の、新作インスタレーションを発表します。
1980年北海道札幌市生まれ。北海道大学工学部卒業後、2004年にCAI現代芸術研究所アートスクール卒業、2006年に北海道大学大学院工学研究科を修了しました。近年の展覧会として、2011年個展『emergent vibration』(gift_lab, 東京)、2010年『Experimental Sound, Art & Performance Festival』(TWS本郷, 東京)が挙げられます。また、様々なミュージシャンとコラボレーションするライブシリーズ「open acoustics」や「福嚴寺 Fes」を主催するなど、ミュージシャンとしての活動も精力的に行っています。ソプラノサックスと自作デバイスやラップトップを用いた演奏活動を行う一方で、音の本来持つ偶有性を保ちながら、意図しないところに生まれる気配に耳を澄ますような、繊細なインスタレーション作品を発表しています。
「音は動きにつながっている」と神谷は言います。音は、モノが振動することによって発生する波。動きは時に音を予感させ、動きがあるところには必ず音が発生する、その動きと音の相互関係を、神谷の作品は、鑑賞者の予測、そして作家の意図やコントロールをも超えたところへ浮かび上がらせていきます。これまでの音を中心とした作品とは異なり、本展では「音はどこから来るのか」という問いから、”動き”にフォーカスを当てた新作を発表します。時計と磁石という、誰もが知るシンプルな素材を使い構築されたひとつの仕組みから、複数の異なる動きが生み出されます。
今回の展覧会のタイトル『関係性のモアレ』とは、その複数のモノ・コトの関係性のズレや干渉の結果を”モアレ”として表しています。一般的に”モアレ”とは、視覚的な干渉縞、現象として2つ以上の音や光などの周期などが微妙に異なったときに現れるもの。それをメタレベルで解釈し、空間のダイナミクスにモアレを生じさせていく神谷の世界観を、この機会に是非ご高覧ください。