伊東宣明『人の写真/糞と花』

2022年6月25日(土) - 7月24日(日)
・営業日:水~土 12:00~19:00 / 日 12:00~17:00
・定休日:月・火 
・オープニングレセプションは開催致しません。
展示風景
作品
人の写真
2022
シングルチャンネルビデオ, サウンド, 15分
ビデオスチル
糞と花
2022
シングルチャンネルビデオ, 3分9秒
ビデオスチル
蝋燭/切り花/眠り/煙
2020
シングルチャンネルビデオ, サウンド, 60分
ビデオスチル
時は戻らない(2020-2022)
2020-2022
シングルチャンネルビデオ, サウンド, 73分
ビデオスチル
時は戻らない(人)
2022
シングルチャンネルビデオ, サウンド, 3 分 59 秒 *
ビデオスチル *『時は戻らない(人)』は、京都芸術センターで開催された個展『FOCUS#4 伊東宣明「時は戻らない」』の会場で公開制作された、観客参加型バージョンの記録映像です。
プレスリリース
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WAITINGROOM(東京)では、2022年6月25日(土)から7月24日(日)まで、伊東宣明の個展『人の写真/糞と花』を開催いたします。伊東は、「身体」「生/死」「精神」といった生きるうえで避ける事のできない根源的なテーマを追求し、映像やインスタレーション作品を発表しているアーティストです。当ギャラリーでは4年ぶり3度目の個展となる本展では、「写真」(あるいは画像)が氾濫する現代において、私たちは「写っていない人々」を想像することができないことを、作者自身がメンターを演じて行われる「エクササイズ」によって浮かび上がらせる映像作品『人の写真』と、作者自身の排泄物と世界中の鮮やかな花で構成される映像作品『糞と花』の、2点の新作を発表いたします。また、作家が「死」のメタファーを口ずさみながら自身の皮膚をめくり続ける『蝋燭/切り花/眠り/煙』(2020)や、コロナ禍の中で制作された『時は戻らない(2020-2022)』(2020-2022)など、生まれてから死ぬまでの不可逆な時間を重要なテーマとした近作も展示いたします。


『人の写真』2022年、シングルチャンネルビデオ、サウンド

作家・伊東宣明について
1981年奈良県生まれ。2016年に京都市立芸術大学大学院 美術研究科博士後期課程を修了、博士(美術)学位を取得。現在は京都府を拠点に活動中。近年の主な展覧会に、2022年個展『FOCUS#4 伊東宣明「時は戻らない」』(京都芸術センター/京都)、2020年個展『されど、死ぬのはいつも他人ばかり』(THE 5TH FLOOR/東京)、2018年個展『フィクション/人生で一番美しい』(WAITINGROOM/東京)、『人生で一番美しい』(同志社女子大学ギャラリー/京都)、グループ展『越境するミュージアム』(クシノテラス/広島・S-HOUSEミュージアム/岡山)、2017年グループ展『第3回牛窓・亜細亜藝術交流祭』(岡山県瀬戸内市尻海地区/岡山)、2016年個展『アートと芸術家』(WAITINGROOM/東京)、グループ展『S-HOUSEミュージアム開館記念展』(S-HOUSE ミュージアム/岡山)、2015年個展『APMoA Project ARCH vol. 13 伊東宣明「アート」』(愛知県美術館/愛知)、グループ展『GRAVEDAD CERO』(Matadero Madrid、マドリード・スペイン、2015年)など。2022年7月18日まで、個展『FOCUS#4 伊東宣明「時は戻らない」』が京都芸術センター(京都)にて開催中。


『糞と花』2022年、シングルチャンネルビデオ

生きること=不可逆な時間の中でゆるやかに死に向かうこと
本展で初公開となる新作『人の写真』の制作のため、様々な地域や年代の人物の写真を大量に収集すればするほど、伊東は、集まった写真に「写っていない人々」や「写ることができなかった人々」の存在を意識せざるを得なかったと言っています。「あまりにも『写真』(あるいは画像)が氾濫する現代において、人が写る/映ることの価値や意味が希釈されているかもしれません」「『写っている』ことに気をとられて、もはや存在していたことすら想像できなくなっているのかもしれません」と伊東が言うように、写真を見れば、それが撮られた時に確かにその人はそこにいたと理解することができ、その人の存在を想像することが可能ですが、写真がなく、その人を想像することが難しい時、その人は存在しないとも言えてしまうのかもしれません。世界中の誰かの写真が溢れる現代において、私たちは自分の意思でこの場に存在し、自分で考え、行動していると思っていますが、人が生まれ、存在しているということを想像するのは、簡単なようで実は難しいのかもしれません。
本展の作品はどれも、タイムベースドメディアである映像を用いて表現されます。映像が始まり、終わりに向かっていくリニアな時間の中に数々のシーケンスが並置され、観客は目の前に流れる映像と共に時間を過ごすことになります。世界中で絵画のモチーフとして描かれる「死」のメタファーを発しながら作家が自身の皮膚を剥き続ける『蝋燭/切り花/眠り/煙』や、コロナ禍の中で作家が日々撮り溜めた映像で構成される『時は戻らない(2020-2022)』などの近作にも見られるように、伊東宣明の作品は、「身体」「生/死」「精神」といったシリアスな概念を、メタフィクションを用いながらユーモラスに照射します。死や排泄は、生きる上で誰もが避けることができないものですが、まざまざと手にとって眺めることはありません。目の前でめくるめく映像体験を通し、私たちはそのようなグロテスクで生々しい宿命のようなものに向き合うことになるかもしれません。ですが、今この瞬間も緩やかに近づいている「死」を思い出すことは、私たちが今たしかに生きているということを実感することと同義であるとも言えるでしょう。

近作を通して緩やかに縁取られる伊東宣明の現在地を、お見逃しなきようぜひご高覧ください。


『蝋燭/切り花/眠り/煙』2020、シングルチャンネルビデオ、サウンド、60分

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同時開催中
個展『FOCUS#4 伊東宣明「時は戻らない」』
会期:5月14日(土) – 7月18日(月・祝) ※6月8日(水)は臨時休館
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南、和室「明倫」、ほか館内各所
   (〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)
入場料:無料 
詳細:https://www.kac.or.jp/events/32042/
※アーティストトークやライブパフォーマンスも予定されています。イベント詳細は展覧会webサイトをご覧ください
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『時は戻らない(2020-2022)』2020-2022、シングルチャンネルビデオ、サウンド

アーティスト
伊東宣明
Nobuaki ITOH