三宅砂織 オンライン上映
2023年10月31日(火)- 11月5日(日)
三宅砂織
Saori MIYAKE

2023年10月21日(土)- 11月19日(日)にWAITINGROOMで個展『Nowhere in Blue』を開催している三宅砂織の映像作品(過去作)を、アートウィーク東京の開催期間限定でオンライン公開いたします。
 
映像作品のシリーズは、三宅がこれまで多く手掛けてきたフォトグラムのシリーズの思考を踏襲したものです。
ネガポジ反転されたイメージは、フォトグラムの制作過程において、モチーフとなる既存の画像をドローイングする際、三宅が頭の中で見ている像と共通しています。
現実よりもスローに進む時間のなかで、連続的にイメージが生成され続ける様子は、暗室作業で、印画紙を薬品に入れたときに潜像が浮かび上がるさまを彷彿とさせます。
編集された映像を通し、作家が制作過程で見ているイメージが共有されることで、「かつて誰かが見たものを、いま私たちが見る」という営みの中に、ある時間や空間をもちながら「絵画的な像」が立ち上がる様子を見ることができるでしょう。
 
ぜひ展覧会と合わせてお楽しみください。
 
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“Garden (Wadakura)”
2022, シングルチャンネルビデオ, 16min.30sec. loop
 
皇居外苑にある和田倉噴水公園で、作家が実際に撮影した映像を編集した作品です。
大噴水は、上皇明仁の成婚を記念し創建され、今上天皇の成婚を機に公園全体が再整備されました。
 
重力に逆らい、吹き上げられては粒になって落下していく水の様子が、ネガポジ反転され、スローモーションで映し出されます。
都市の中の公園として人工的に整備された静謐な空間の中で、黒い水だけが有機的に動き続け、イメージが生まれ続ける様子が際立って見えてきます。
 
 

“Garden (MoFA, Gifu)”
2021, シングルチャンネルビデオ, 13min. loop
 
滞在制作企画「アーティスト・イン・ミュージアム(AiM)」の期間中、岐阜県美術館の庭園と野外彫刻を撮影して制作された作品です。
 
三宅は、滞在制作の1年前から生まれ故郷でもある岐阜県内を訪れ、リサーチを行っている最中にコロナ禍に見舞われました。
美術館が閉館となり、県をまたぐ移動も制限されるなど、プランや生活の変化を余儀なくされるなかで、庭を散策しながら、野外で彫刻や立体作品を眺めること、ときには触ることができるということについて、意識的になったといいます。
美術館にあった写真や資料と、コロナ禍の状況が結びつき、人工物との共存によって作られる「自然」の風景や、美術というものと野外の環境や人との距離について、考えを巡らせながら制作されました。